京つう

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2013年03月02日

stop ! 万引き






こんにちは。梅津店のまつもとです。



万引きを捕まえたコンビニの店長がすべきことは、代金を回収し、再犯防止、抑止に努めることです。



万引き中学生たちと向き合った3日間でした。


今回は中学一年生の女子5人組でした。印象としては、年齢以上に犯行の方法、捕まってからの態度が幼く稚拙で小学三年生くらいを捕まえたような印象でした。しかし盗っている物の中にはお酒も入っているし、金額も総額で3000円程度と、なかなかかわいげのない内容で、捕まった直後もスマホをいじるは、友達を置いて逃げようとするわ、そういう態度で、自分達の行為に対する認識が相当浅いと思われたので、まぁここは散々な目にあわせてやろうと思い、警察と学校とに同時に連絡し、あれよあれよという間に大人の集団に囲まれ、警察へと連れていかれました。


店長としてまずすべきことは、犯人に反省を促すことではなく、再犯を抑止することにあります。再犯はもちろん今回捕まえた子たちもですがそれ以上に不特定多数の「地域で万引きをする可能性のある子どもたち」を対象とします。


その上で私に求められる行動は「あそこの店長、バリうざい」と子どもたちから思われることにあります。


「ちょっと万引きしたくらいで、迷わず警察呼ぶ」「生徒指導の先生とどうやら繋がっているらしい」「親と一緒に改めて謝りにこさせる」「さらに、なぜか学校にくる」


こういったイメージが地域の子どもたちに伝われば、少しは抑止に繋がるとは思われます。SNS 全盛で、中学生でもスマートフォンを持っている時代ですので、Twitterやlineなんかに「ガチでウザイ」とでも書いてもらえたら、少しはイメージの定着速度も早まるかなと。


捕まえた直後にスマホいじってた子は明らかになんらかの「つぶやき」をしようとしていたので、あえて更新させてから、「おまえその態度はなんやねん!」と怒鳴りつけることにしました。大人はこわいのです。


で、大事なのはここからなのですが、体裁として非情を振る舞うことは絶対的に重要ですが、本音を言えばきちんと反省できる子には反省させてあげたい。だいたい13歳やそこらで、繰り返し万引きする子は家庭に問題があることがほとんどなので、親の責任もかなりあるとは思うのです。


ただ、そんな親に「あんたとこの家庭はどんな教育しとるんですか」と、年下の店長が言ったところで反発心しかおきないでしょうし、今回は、親子揃って後日店に謝罪にくるように学校に要請していたので、その時に、子どもに語りかける体裁で親に話をするというやり方をとりました。


テーマは「謝る」ということ。


万引きは法律で禁じられているので、それを犯したので、謝る。けっこうこのことしか言えない親は多いです。でも、謝るべきポイントはそこだけではありません。


たとえば私に対しては、物を盗って損害を与えたことだけでなく、通常業務プラスで警察に書類を提出しに行ったり防犯カメラを何度も確認したり、利益に繋がらない時間外の労働を強いているのだ、その事についてきちんと謝ってくれと、また無慈悲を装って話をします。


だいたいそこで親も気づくので私の話に乗ってきます。こっちに謝り、子どもに「ちゃんと謝りなさい」といい始めます。親も謝るべきポイントが一つ増えました。


次に、今の子どもたちに通用するか少し自信なかったですが、その子たちと親に響く言葉を使ってみます。たとえば「裏切り」とか「無視」といった言葉。


実は今回はかなりうまく学校と連携がとれました。今回の件の担当の先生が非常に熱心で察しもよく、すぐに動いてくれたことがその理由の全てです。写真は阪神の能見投手ですが、その能見投手によく似た端正な顔立ちの若い体育の先生でした。生徒たちのことも、本当に真剣に考えている先生でした。


なので、私はその先生の名前を出し、


私「担当の先生は本当にみんなのことを考えていろんな対応をしてくれてると思う。みんなのために、ものすごい頭下げてまわっているんや」

中学生「…」

私「話きいてても、この件がある前からみんなのことをよく見てたんやなぁ、ということがほんまによくわかるねん。どう思う?」

中学生「…」

私「みんなは、そんな先生の気持ちを裏切ったんや」

中学生「…」

私「裏切られたいか?」

中学生「…」

私「じゃあ、どうするべきや?」

中学生「…先生に謝る」

私「なんで先生に謝るん?」

中学生「…先生のこと…裏切ったから」


半ば誘導尋問ですが、ある程度効果はあったようでした。とりあえず、謝りに行けと言われたし行けばいいんやろ、お金払ったら別になにも言われる筋合いないし、といったところからは少し前に出ることができました。「裏切られた」という言葉の持つ力がまだ効力を持っていてよかったです。


で、最後に


私「でもな、それよりもっと重いもんがあるやろ?わかるか?」

中学生「…」

私「先生よりももっと謝らなあかんの誰や?」

中学生「…」

私「ここまで、育ててくれたん誰や?今回の件で、店にも学校にも警察にもずっと謝ってくれてたん誰や?」

中学生「…」

私「一番ちゃんと謝らなあかん人、誰か分かるな?」

中学生「…」

私「誰や?」


中学生「……お母さん」




という感じのことを五人分やりました。娘も母もちゃんと泣けて、いい形で終われた家族もあれば、そうではないところもありました。ただ、少なくとも親子間の距離は縮まって一時的にでも、親子の会話が成立する距離にはなっていたと思います。

きちんと謝って正直に罪を告白し、リスタートすることに主眼を置いたこともあってか、
余罪もあったのですが、それも学校の協力と本人たちの申告によってある程度は精算できました。


stop! 万引き!



Posted by 副てんちょ~ at 01:40│Comments(0)
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